【パーソナルケア】首の寝違えから7日間でドラムレコーディング。理学療法士のケーススタディ(前編)
「右首が痛くて動かなくなった」
日曜日の朝。 妻からの緊急SOS。
聞けば、眠っていた夜間で首を寝違えたらしい。見ると、妻の右首は完全に固まっていました。
触るだけで激痛。明らかに炎症。
原因を遡る
「昨日何かしたっけ?」
ふと思いを巡らせます。時を遡ること前日。
「背中がぐぎぎって硬い感じがする」
妻がそう言っていました。
普段、妻の体の不調は理学療法士である私がコンディショニングしています。
しかしこの日は仕事後で疲れていた私を気遣ってか、妻が「整体院に行こう」と提案。
私たちは外部の整体院を飛び込みで利用しました。
その整体院で、妻は首肩リラクゼーションコースを選択。
首肩を中心にほぐしてもらっていました。
それだ。
翌朝、妻が右首を痛めた理由が判明しました。
コリと張り、ここが大事
それぞれの筋肉には伸び縮みに適した長さ(自然長)があり、
縮みすぎている筋肉も、伸びすぎている筋肉も、疲れや痛みとなって現れます。
イメージとしては、
- 縮みすぎている筋肉が凝り。
- 伸びすぎている筋肉が張り。

ここで注意しなければならないのは、疲れや痛みを感じている筋肉が
凝り(コリ)なのか、張りなのか、
ということ。
凝りならば温めてほぐして伸ばして動かすのが正解。
リラクゼーションが効果的となります。
しかし、張りとなれば話は別。

筋肉が伸びすぎているとはどういうことか。
それは、硬くなった胸お腹の筋肉や背中腰の筋肉に引っ張られ、首の筋肉が下向きに伸ばされ続けているということ。
つまり、その時の首の筋肉はギターの弦のように強く張っている状態。
・・
その状態で首の筋肉をリラクゼーションとして揉みほぐしてしまうとどうなるか。
弦のように強く伸ばされて張っている筋肉は、切れることがあります。
スポーツの世界でよく聞く肉離れに近い症状。
もしくは、一般でよく聞くギックリ。これらに相当します。
これは、リラクゼーション業界でよく起こる出来事。
というか、事故です。
正確な評価のもとで施術しなければ、今回のように、後日に痛みが強くなるという事故に繋がることがあります。
私がコンディショニングすれば良かった。そう思いながら妻の右首を評価しました。
急性期の頚部痛に必要な3日間
炎症が出ているため、ここから3日間のプランは
【湿布を貼って首を固定して安静】
炎症が引くまでは揉まない動かさない。これが鉄則。
◆
本来ならば、
- 3〜4日で炎症が引くのを待つ。
- 炎症が引いたら温めてほぐし、痛みの少ない範囲で少しずつ伸ばしながら動かす。
- 痛みに対しての防御反応が出ないよう、丁寧に運動の学習を促していく。
これがマニュアル通りの方法。

しかし、妻から衝撃のひと言。
「7日後の土曜日にドラムのレコーディングがある、絶対休めない」
………。
何ですと!?
悠長に構えていた私の背筋に雷が落ちました。
プロ奏者である妻のレコーディングでは、海外活動中のメンバーが日本に来るということもあり、
代えのきかない真剣勝負の仕事。
レコーディングまでに何とかするしかない。

ギックリになるとスマホすら持てない。ポケットに入れておく重さにも首が耐えられない
超絶難易度の超短期目標
これはまずい。一般の患者さんでよくあるような、
3ヶ月目標で首の痛みが消えるように、というゴールではありません。
\1週間以内(今週の土曜日)に/
首の痛みを極力少なくして、
ドラムセットという数十キロの機材運搬に耐え、
1日中叩ける身体をつくる。
とてつもなく無謀なゴール設定。
整形外科クリニックに通っていてはとても間に合いません。
これは急がねばならない。
急性期病院の現場にいた頃のような、日単位のシビアな治療プランが必要になりました。

ドラムセット、運ぶだけで約30kgあるって聞いて震えた。
7日間の治療プラン
私は本気で日割り計算のメニューを組みました。
1日目(日曜日) 湿布を貼って安静。首に負担をかけそうな、頭と胸お腹、背中腰、あと足の筋肉をリラクゼーションでほぐしてストレッチで伸ばしておく。ドラム練習はイメトレで何とかしてもらう。
2、3日目(月曜日、火曜日) 炎症の経過を確認。湿布を貼って安静。首に負担をかけそうな、頭と胸お腹、背中腰、あと足の筋肉をリラクゼーションでほぐしてストレッチで伸ばしておく。ドラム練習はイメトレで何とかしてもらう。
4日目(水曜日) 炎症の経過を確認。そろそろ炎症が引くと思われるため、頭首肩の筋肉を温めてから指圧。痛みの少ない範囲で少しずつ(それこそ皮膚の動きからスタートするぐらいの強さで)動かしていく。ドラム練習はまだイメトレで何とかしてもらう。
5日目(木曜日) 痛みの少ない範囲で頭首肩のストレッチを加えていく。同時に、胸お腹と背中腰のストレッチをしながら、ゴロゴロ転がる練習や、ハイハイの体勢での体幹トレーニングを少しずつ加えていく。痛みが少なくなってきた時点で、弱い力からドラムを叩く練習をしていく。
6日目(金曜日) 頭首肩のストレッチ、ゴロゴロ転がるトレーニング、ハイハイでの体幹トレーニングを継続。頭首肩をほぐしながら、防御反応が出にくくなるところまで、肩の上下運動を何度も何度も反復する。痛みが少ない範囲で、ドラムを徐々に強く叩く練習をしていく。
7日目(土曜日) 頭首肩の痛みの有無を確認。早朝にコンディショニング。痛みが少ないことを確認してドラムを強く叩く練習を少し。ドラムのレコーディング本番に臨む。
これでもかなり巻いた方。
「本来ならじっくり治すべきだけど、今はこれで行くしかない」
炎症が再発しないことを祈りながら、私は妻の首にそっと手を当てました。
☞後編へ続く
前田 啓人 : ライター(リラトレトレーナー)
東京都中野区生まれ。理学療法士。
2013年に国家資格の理学療法士免許取得後、病院(急性期、回復期、療養、訪問)、デイサービス、訪問看護ステーションで10年臨床経験を重ね、2023年4月にリラトレ トレーナーとしてリラトレを開業。
3月にタイ現地にて政府認定タイ式マッサージのインストラクターの資格を取得。
2024年より整形外科クリニック勤務。4月大学院(保健医療学修士課程)入学。
2026年、大学院(福祉支援工学分野博士課程)入学予定。
野球と筋肉が好きなオタク。
リラトレで出来ること
① お話を伺って、病院受診が必要かどうかのご提案が出来ます。
② 痛めた直後の場合、痛めた箇所の周りの箇所のリラクゼーションやストレッチ、トレーニングを行い、痛めた箇所への負担を楽に出来ます。
③ 痛めてからしばらく経っている場合、痛めた箇所のリラクゼーションやストレッチ、トレーニングを行い、痛めた箇所そのものを楽に出来ます。
④ なぜその場所を痛めたのか、間接的な原因を探り、その原因へのアプローチをすることが出来ます。
⑤ ご自身で行える対処方法のご提案が出来ます。
ご予約はこちら
お体についてお悩みの方、ぜひお待ちしております。
宜しくお願いします。
リラトレトレーナー 前田 啓人