リラトレ通信
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寝違えは冷やすか温めるか?炎症を見極める3日間

【前回のあらすじ】

右首が動かない。でも、7日後のレコーディングは絶対に休めない。

 

妻(プロドラマー)を襲った、最悪のタイミングでの寝違え。

原因は、良かれと思って受けた外部の整体院のマッサージによる筋肉の張りの悪化でした。

 

触るだけで激痛。
・
・
・

炎症の痛みで全く動かせない右首。


目の前には、迫り来る本番。


運ばなければならない30kgの機材。

 

夫であり理学療法士である私は、

「炎症で動かせない首を、7日間でドラムセットを運び、演奏できる首に仕上げる」という、

超絶難易度の超短期目標プランを設定しました。

(何ですと!?)
タイムリミットまで、あと7日——。

家財の組立ては妻に任せきりだった結婚当初を思い出す

 

炎症箇所の確認と湿布選び

まず、炎症箇所の確認から。

外に出ている炎症なら「赤く腫れて熱を持って痛い」が見て触ってわかる。

でも、中で炎症が起きている場合は、実際に押してみないとわからないものです。

 

だから、基準は

押して痛みが強くなるか、広がるかどうか。

 

今回のケースの場合、前斜角筋と呼ばれる筋肉の起始部(頭側)に炎症反応がありました。

指で豆腐に穴を開けないくらいの強さで押しただけで、痛みで身体が跳ね上がるほど。

なるほど、これは重症だ。

 

その場所に湿布を貼ります。炎症箇所は通常「冷やして固定して安静」が原則(RICE処置)。

冷たい湿布が適応です。

 

ただ、妻の場合は一週間後にドラム演奏が控えています。

 

周りの筋肉まで固まってしまう冷湿布より、敢えてぬるい(肌色の)湿布を選択しました。

温度の影響を受けず、痛み止め成分(ロキソニン)が入っている。

スピード感重視ならこれが適していると考えたからです。

 

※本来は冷湿布の方が安全ではあります。

 


寝違えの急性期:炎症初日でもできること

炎症発生初日でもできること。

患部の周りの筋肉をほぐして、患部が引っ張られるストレスを減らすこと。

 

アナトミートレイン(筋連結)という考え方があるように、

筋肉は足先から頭の先まで繋がっています。

 

つまり、足を動かすだけで首が引っ張られる可能性もある。

首を治すなら、足も含めた全身の評価が必要です。

妻の場合、特に硬くなっていたのは胸・お腹、背中・腰、そして太ももの前側の筋肉。

いずれも、椅子に座っている時間が長いと硬くなりやすい筋肉です。(ドラム演奏やデスクワークなど)

これらが硬くなっていると、首の筋肉が下向きに引っ張られ続けてしまいます。

 

横向きにはまだ無理そうです。

横向きはバランスが不安定な分、首へのストレスがかかりやすくなります。

 

そこで、あお向け(安定姿勢)のまま、

足先から全身をほぐす方法を選びました。

 

湿布を貼った患部にはまだ触れず、周りの筋肉を丁寧にほぐしていきます。

リラクゼーションの手技で緩め、ストレッチで伸ばす。

これだけでも、患部への負担はかなり軽減されるはずです。

 

首はまだ触らないから安心してと声をかけながら、慎重に施術を進めました。

 

急性期の比較的楽な起き方

股関節・膝関節・足関節をストレッチしながら、腰と背中の中間あたりまで動かしていく。

幸い、これで首に響くことはなさそうです。


あお向けで一通りほぐした後、横向きになれるかどうかを再評価。

痛みがまだまだ強いので、無理はしないことにしました。


ただ、生活上ずっと寝たきりでもいられないので、比較的楽な起き方を教えます。

  1. あお向け→
  2. 横向き→
  3. うつ伏せ→
  4. 肘立て→
  5. 腕立て→
  6. 四つん這い→
  7. ゆっくり立ち上がる。

 

人間発達学になぞらえた、赤ちゃんが立つまでの動きをイメージした起き方です。

妻も首が痛い痛いと言いながら、なんとか立ち上がることができました。

 

今日はここまで。

◆

妻「ドラム練習していい?」

私「まだまだ!イメトレで我慢してね」と即答。


 

2、3日目:炎症の確認

炎症の強さと広さを指圧で確認。

痛みの強さが弱まり、範囲も狭まっていました。

足と背中・腰のストレッチに加え、ここで頭の指圧マッサージを始めます。

 

妻は普段からストレスで全身を身構えやすいらしく、頭の筋肉がガチガチ。

他の整体院でも「全身で他人を拒否している」と言われるくらいの繊細な性格です。

 

ここで心掛けて使った技は、

  • 虫(蝶って言ってほしい)が止まるようなソフトタッチ🦋
  • 犬が背中を向けて近づいてくるようなソフトタッチ🐩

 

で指圧しました。

 

グリグリ指圧、叫ぶような強いストレッチ、ガツガツした筋トレ——

このケースでは一切要りません。

 

身体の構造を理解していれば、強い刺激は本来、必要ないものなのです。

 

暴走気味な交感神経を鎮める

ひたすら安心感を与えながら、暴走気味な交感神経を鎮めることを意識します。

徐々に頭と肩周りの緊張が解けると、ようやく痛みなく横向きになれるようになりました。

 

ここで私は妻に、

【横向き姿勢でゆらゆら揺れる練習】

をタスクとして伝えました。

 

◆

妻「ドラム練習して良い?」

私「まだだよ」

妻「本番になっちゃう〜!」

私「5日目までイメトレで我慢してね!」

 

ストイックすぎる妻が無理してドラム練習をしないよう、目を光らせました👀


 

4日目:防御性収縮への対応

炎症の強さと広さを指圧で確認。患部を押してもほとんど痛みがない。

炎症がある程度引いた証拠です。

周りの筋肉を一通りほぐして伸ばした後、ここで初めて首の筋肉そのものにアプローチしました。

(ここで前回のおさらいを。)

3ヶ月目標で首の痛みが消えるように、というゴールではありません。

 

\1週間以内(今週の土曜日)に/

 首の痛みを極力少なくして、

 ドラムセット数十キロの機材運搬に耐え、

 1日中叩ける身体をつくる。

 

とてつもなく無謀なゴール設定。


整形外科クリニックに通っていてはとても間に合いません。

これは急がねばならない。

急性期病院の現場にいた頃のような、日単位のシビアな治療プランが必要になりました。



触れただけでわかる、首のガチガチ感。

急に動かすと絶対に痛いので、まずは皮膚から動かすイメージ。

手の温度で患部を温めながら慎重にほぐしていきます。

 

緊張が落ちてきたら、弱い刺激から筋肉の際を指圧。

直接筋肉を持ちながら、ゆっくり伸び縮みさせる。

 

少しずつ動くようにはなってきたけれど、こんどは筋肉を固めようとする反応(防御性収縮)が出てきます。

 

痛みを学習させないこと

ここで気をつけなければならないのが、痛みを学習させてしまうこと。

脳は、一度強い痛みを感じると、同じような動きをした時に無意識で筋肉を固めようとします。

痛みを感じるほど、その傾向は強くなる。

結果、緊張した筋肉同士が綱引きを始めて、痛みがさらに強くなります。

 

強い痛みを感じさせてはいけないのです。

 

🦋のような、🐩が背中を向けて近づきたくなるようなソフトタッチをこれでもかと意識しながら、

首を少しずつ動かしていきました。

 

その甲斐あってか、首が肩と一緒に動かせるようになってきた。

 

ただ、肩を動かそうとすると最初に首に力が入ってしまう(代償動作)。

なので、妻の首を少し抑えながら、肩甲骨を正しい方向へ何度も何度も動かしました。

 

ゴロゴロ転がる運動

首肩がある程度痛みなく動かせるようになったところで、動作練習へ。

首に余計な力が入らないよう誘導しながら、あお向け⇄横向きで何度も何度もゴロゴロと転がります。

 

転がることで胸・お腹と腰・背中の力がバランスよく入るようになる。

背骨周りが安定すると、結果的に首の筋肉が守られます。

 

◆

妻「ドラム練習して良い?」

私「テーブルを軽く叩くぐらいから始めてね」

妻「おっけー🙌」

妻は早速テーブルを叩き始めました(ズダダダ!!)。

私「……軽くならね(ズダダダ!という音に肝を冷やしながら)、強く叩かないでね?」

 

私は若干オロオロしながら見守りました😨

タイムリミットまで、あと3日——。

 

7日間の治療プラン

1日目(日曜日) 湿布を貼って安静。首に負担をかけそうな、頭と胸お腹、背中腰、あと足の筋肉をリラクゼーションでほぐしてストレッチで伸ばしておく。ドラム練習はイメトレで何とかしてもらう。

2、3日目(月曜日、火曜日) 炎症の経過を確認。湿布を貼って安静。首に負担をかけそうな、頭と胸お腹、背中腰、あと足の筋肉をリラクゼーションでほぐしてストレッチで伸ばしておく。ドラム練習はイメトレで何とかしてもらう。

イマココ→ 4日目(水曜日) 炎症の経過を確認。そろそろ炎症が引くと思われるため、頭首肩の筋肉を温めてから指圧。痛みの少ない範囲で少しずつ(それこそ皮膚の動きからスタートするぐらいの強さで)動かしていく。ドラム練習はまだイメトレで何とかしてもらう。

5日目(木曜日) 痛みの少ない範囲で頭首肩のストレッチを加えていく。同時に、胸お腹と背中腰のストレッチをしながら、ゴロゴロ転がる練習や、ハイハイの体勢での体幹トレーニングを少しずつ加えていく。痛みが少なくなってきた時点で、弱い力からドラムを叩く練習をしていく。

6日目(金曜日) 頭首肩のストレッチ、ゴロゴロ転がるトレーニング、ハイハイでの体幹トレーニングを継続。頭首肩をほぐしながら、防御反応が出にくくなるところまで、肩の上下運動を何度も何度も反復する。痛みが少ない範囲で、ドラムを徐々に強く叩く練習をしていく。

7日目(土曜日) 頭首肩の痛みの有無を確認。早朝にコンディショニング。痛みが少ないことを確認してドラムを強く叩く練習を少し。ドラムのレコーディング本番に臨む。

 

☞さて、運命のレコーディングはどうなったのか。
次回、完結編へ続きます。


 

前田 啓人 : ライター(リラトレトレーナー)

東京都中野区生まれ。理学療法士。

2013年に国家資格の理学療法士免許取得後、病院(急性期、回復期、療養、訪問)、デイサービス、訪問看護ステーションで10年臨床経験を重ね、2023年4月にリラトレ トレーナーとしてリラトレを開業。
3月にタイ現地にて政府認定タイ式マッサージのインストラクターの資格を取得。
2024年より整形外科クリニック勤務。4月大学院(保健医療学修士課程)入学。
2026年、大学院(福祉支援工学分野博士課程)入学予定。

野球と筋肉が好きなオタク。

【パーソナルケア】首の寝違えから7日間でドラムレコーディング。理学療法士のケーススタディ

 

リラトレで出来ること


① お話を伺って、病院受診が必要かどうかのご提案が出来ます。

② 痛めた直後の場合、痛めた箇所の周りの箇所のリラクゼーションやストレッチ、トレーニングを行い、痛めた箇所への負担を楽に出来ます。

③ 痛めてからしばらく経っている場合、痛めた箇所のリラクゼーションやストレッチ、トレーニングを行い、痛めた箇所そのものを楽に出来ます。

④ なぜその場所を痛めたのか、間接的な原因を探り、その原因へのアプローチをすることが出来ます。

⑤ ご自身で行える対処方法のご提案が出来ます。

 

ご予約はこちら

 

お体についてお悩みの方、ぜひお待ちしております。

宜しくお願いします。

リラトレトレーナー 前田 啓人

 

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