寝違えた首が、7日でドラムを叩けるまでに戻った。理学療法士が妻と歩んだ最終週の記録<実戦復帰編>
首の寝違え回復記録|理学療法士が実践した防御性収縮への対応とコンディショニングの全工程
【前回までのあらすじ】
妻(プロドラマー)を襲った、最悪のタイミングでの寝違え。
原因は、良かれと思って受けた外部の整体院のマッサージによる筋肉の張りの悪化でした。
理学療法士の私は、一週間以内にドラム演奏ができる身体づくりという超絶難易度の治療プランをスタート。
全身アプローチと慎重な施術でここまで順調に回復し、妻は何とかテーブルを連打できるようになった。
タイムリミットまで、あと3日——。

こんな大きいもの持ち運ぶんだもんなあ。
回復の確認と肩の動き評価
発症5日目(木曜日) 肩が上がるようになるまで
炎症が引いているかの確認と、右首の硬さ確認。
若干硬さは残っているものの、想定内。
少しほぐせばすぐほぐれるレベルでした。
ここまでは順調。当初の予定より早く回復できています。
テーブルを連打しても首が痛くなくなってきたということは、
肩を90度以上挙げない限りは激しい運動をしても大丈夫になってきた、
ということ。
しかし、ドラム演奏では肩を90度以上挙げられること、むしろ肩をグルグル回せることが最低条件です。
私は妻の肩の動きを慎重に確認しました。
胸骨、鎖骨、肩甲骨、上腕骨。これらの骨がタイミング良く正しい方向と正しい角度に動かないと、骨の衝突で強い痛みが生じます。
インピンジメントと呼ばれる現象です。
各フェーズごとの角度、各筋肉の力の入り方や順番、角度によって筋肉がタイミング良くリラックスできているかどうか、緻密に確認しながら評価していきました。

正しい動きの順番を身体に覚えさせる
妻の場合、最初の動き始めで真っ先に右首に力が入っていました。
これはよくないと思い、妻の首の筋肉を私の手で抑制。
力の入るべき順番を丁寧に誘導しながら、
最初はゆっくり、時には「ここの力を抜いて」とタップして声をかけながら、
何度も何度も反復練習していきます。
幸いなことに、肩の軟骨も靱帯も硬くなっている様子はなかったので、徐々に肩が挙がるようになってきました。
バンザイの方向、横から開く方向、グルグル。バリエーションを少しずつ増やしながら、
最初はゆっくり、慣れたらテンポアップ、
最後はドラム演奏のスピードを意識しながら妻の首肩を動かしていきました。
最初は防御していた妻の首肩もその守りが解かれ、ほとんど痛みなく肩を回せるようになっていきました。

早期復帰の鍵となったプロ奏者の徹底したセルフケア
ゴロゴロ転がるタスクも妻は実直にこなしていたため、
首と胸お腹、腰背中の柔らかさや力の入りも当初の予想以上によくなっていました。
このストイックさには、さすがプロのミュージシャンだと心から感心しました。
仕上げとして、
ハイハイ姿勢での体幹トレーニングを新たなタスクとして伝えました。
◆
妻「ドラム練習して良い?」
私「痛くない範囲なら良いよ」
妻「ヤリマスー🙌」
妻はウォーミングアップ程度のドラム演奏から少しずつ強度を上げていきました。
ドラム演奏の動き方については妻自身が一番よく知っているだろうし、
あとは微調整次第で何とかなるかな。私も、妻の練習を安心して見ていられるようになっていました😊

本番前日の全身チェック
6日目(金曜日) 前日自宅リハーサル🏠
いよいよ明日が本番。最低限の目標は、無事に土曜日のドラム演奏を終えること。
見逃していることはないかと、妻の首肩と全身の動きを再チェックしました。
- 右肩をグルグル動かしても骨の衝突や右首の痛みはほとんどなく、背骨付近の筋肉も硬すぎず安定感抜群。
- ドラム練習をしてもやや疲労が出る程度。
- ドラムセットを実際に持ってもらっても、右首の痛みなし。
どうやらコンディショニングは上手くいったようです。
GOサインを出す
ここまで来れば、30kgのドラムセット運搬も無理なく行けるだろう。
私はホッと胸を撫で下ろしました。
これなら明日のレコーディング、何とかなるかもと、妻にGOサインを出しました。妻もホッとしていました。
念のため一言。「演奏中痛かったら、力をセーブしなね」。
妻はレコーディング直前のドラム練習を敢行。
スティックの乾いた音が部屋に響きました。
素人目に見ても、ドラム演奏が曲として成立している。
この短期間で形として仕上げてくるところが、プロってすごいなあと、
感心を超えて尊敬しながら見惚れていました👀✨

レコーディングは、3日間にわたって続く。
ドラム演奏本番を見据えた最終コンディショニング
7日目(土曜日) ドラム演奏レコーディング本番
朝方に軽くコンディショニングチェック。
特に問題がなさそうなのを確認し、私は仕事に出勤しました。
予定的に直接は関われないので、仕事をしながら妻の右首の無事を祈るのみ。
仕事終わり。妻から一本のLINE。
「レコーディング終わって今から打ち上げ。
みんなで回転寿司を食べるけど来る?🍣」
私は喜びながらダッシュで帰宅し、車で妻のもとに急行しました。

おわりに
右首が痛くて動かなくなった、そんな緊急事態から始まった7日間。
炎症で全く動かせなかった首が、ドラム演奏ができるまでに回復するとは、正直私自身も半信半疑でした。
でも、妻の絶対に休めないという強い意志と、毎日真面目にタスクをこなすストイックさ。
そして何より、身体が持つ本来の回復力。
これらが組み合わさって、奇跡的とも言える回復を遂げることができました。
回転寿司での打ち上げで、妻は笑顔で「無事に終わったよ」と報告してくれました。
その笑顔を見て、私もようやくホッとすることができました。
今回は相手が妻だったからこそ踏み切れた介入です。
前田 啓人 : ライター(リラトレトレーナー)
東京都中野区生まれ。理学療法士。
2013年に国家資格の理学療法士免許取得後、病院(急性期、回復期、療養、訪問)、デイサービス、訪問看護ステーションで10年臨床経験を重ね、2023年4月にリラトレ トレーナーとしてリラトレを開業。
3月にタイ現地にて政府認定タイ式マッサージのインストラクターの資格を取得。
2024年より整形外科クリニック勤務。4月大学院(保健医療学修士課程)入学。
2026年、大学院(福祉支援工学分野博士課程)入学予定。
野球と筋肉が好きなオタク。
7日間の治療プラン
1日目(日曜日) 湿布を貼って安静。首に負担をかけそうな、頭と胸お腹、背中腰、あと足の筋肉をリラクゼーションでほぐしてストレッチで伸ばしておく。ドラム練習はイメトレで何とかしてもらう。
2、3日目(月曜日、火曜日) 炎症の経過を確認。湿布を貼って安静。首に負担をかけそうな、頭と胸お腹、背中腰、あと足の筋肉をリラクゼーションでほぐしてストレッチで伸ばしておく。ドラム練習はイメトレで何とかしてもらう。
4日目(水曜日) 炎症の経過を確認。そろそろ炎症が引くと思われるため、頭首肩の筋肉を温めてから指圧。痛みの少ない範囲で少しずつ(それこそ皮膚の動きからスタートするぐらいの強さで)動かしていく。ドラム練習はまだイメトレで何とかしてもらう。
5日目(木曜日) 痛みの少ない範囲で頭首肩のストレッチを加えていく。同時に、胸お腹と背中腰のストレッチをしながら、ゴロゴロ転がる練習や、ハイハイの体勢での体幹トレーニングを少しずつ加えていく。痛みが少なくなってきた時点で、弱い力からドラムを叩く練習をしていく。
6日目(金曜日) 頭首肩のストレッチ、ゴロゴロ転がるトレーニング、ハイハイでの体幹トレーニングを継続。頭首肩をほぐしながら、防御反応が出にくくなるところまで、肩の上下運動を何度も何度も反復する。痛みが少ない範囲で、ドラムを徐々に強く叩く練習をしていく。
7日目(土曜日) 頭首肩の痛みの有無を確認。早朝にコンディショニング。痛みが少ないことを確認してドラムを強く叩く練習を少し。ドラムのレコーディング本番に臨む。
おさらい↓
リラトレで出来ること
① お話を伺って、病院受診が必要かどうかのご提案が出来ます。
② 痛めた直後の場合、痛めた箇所の周りの箇所のリラクゼーションやストレッチ、トレーニングを行い、痛めた箇所への負担を楽に出来ます。
③ 痛めてからしばらく経っている場合、痛めた箇所のリラクゼーションやストレッチ、トレーニングを行い、痛めた箇所そのものを楽に出来ます。
④ なぜその場所を痛めたのか、間接的な原因を探り、その原因へのアプローチをすることが出来ます。
⑤ ご自身で行える対処方法のご提案が出来ます。
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お体についてお悩みの方、ぜひお待ちしております。
宜しくお願いします。
リラトレトレーナー 前田 啓人